砂手紙のなりゆきブログ

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メモ取らないで本を読んだらはかどるのなんの(ぼくたちの好きな戦争)

 小林信彦『ぼくたちの好きな戦争』(1986年)は、東京の老舗の和菓子屋を継いだ長男と、風刺画家になった次男、芸人になった3人の兄弟と、長男の子供を扱った物語で、それにアメリカ側の兵士(というかギャグ・ライター)と、その著作物(メタフィクション)になっている「アメリカが戦争に負けるという設定の物語」がからんでくる、なかなか面白い話です。
 この小説の前に『世界の喜劇人』(新潮文庫は1983年)を読んだんだけれど、小林信彦がつまらないというと本当につまらなく思えてしまう映画ばかりなのが困る。逆に見たくなったのは『吾輩はカモである』(1933年)と『地下鉄のザジ』(1960年)ですかね。
 しかし『吾輩はカモである』はずいぶん昔に見て、マルクス兄弟とかはちょっと英語に慣れてる人が見ないと楽しめない映画かなあ、と思ったので、『地下鉄のザジ』も本当はフランス語がわからないとダメなんだろうと思う。
 それよりどうもぼくは、『ぼくたちの好きな戦争』を多分20世紀末に読んでる気がするんだけど、話の筋はすっかり忘れていて、小学校時代に疎開先から逃げて来た友だちのために、知り合いの女子(妾の子)から、毛布は二階の窓から外に投げればいい、という入れ知恵をさずかって、というところしか覚えてない。小林信彦は多分何度も同じエピソードを話しているので、別のテキストで読んだ気もするし、いやはやどうも。
 しかしこの小説もl『吾輩は猫である』(1905年)と同じく、10年ごとに読み返しても、昔はわからなかったことがわかるように書いてあったりするんで(喜劇人の名前とかね)、そんなに問題はないかもしれない。
 第二次大戦中にカフカの『城』(1926年)を読もうと思ったら原書じゃないと無理ってのは知らなかったなあ。日本語で読めるようになったのは1953年の新潮社(訳者不明)・河出書房(岡村弘・訳)以降なのか。国会図書館サーチだと新潮社・1906年というのがあるんだけど、これは何かの間違いじゃないかって気がする。