砂手紙のなりゆきブログ

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映画音楽は酒と同じで、なくてもなんとかなるというものではないが、あればいいというものでもない(戦火の馬)

 サイレント時代から映画監督やっている人の映画は、今見てみるとうるさくてしかたないのです。
 あれは多分、劇場でずっと生音楽流してたせいなんだろうな。音(音楽)がない状態の映画は映画じゃない、みたいな感じ。
 効果音・自然音はともかく、映画音楽は映画の映像に無駄な説明をつけすぎているので、びっくりさせたり感動させたりする(主人公がびっくりしたり感動したりする)場面に音楽が流れると「馬鹿じゃねぇのか」とか思います。
 そんなの見ればわかるだろ。
 古くからの映画監督で音楽がいい感じなのは、ハリウッド映画だとマーティン・スコセッシクリント・イーストウッドウディ・アレンで、スコセッシは音楽映画を作ったりしているし、イーストウッドは自分で歌も歌ってる(若いときですけどね)し、ウディ・アレンは1930年代のビッグバンド・ジャズを聞きながらシナリオを書いて、毎週クラリネットを吹いてます。
 死んだ監督ではジョージ・ロイ・ヒルで、なんでもない自転車に乗ってるところに音楽乗せたりして、めったに登場人物がびっくりしているところに音楽なんかつけない。
 音楽がどうも駄目な監督はアルフレッド・ヒッチコックで(かれはサイレント映画時代の字幕説明を書いたこともあるぐらいなので、美術・映像に関してはばつぐんです)、その影響を受けすぎているスティーヴン・スピルバーグはさらにダメダメです。
 映画『戦火の馬』(2011年)は、スピルバーグの作品としては最良に属するものですが、あの馬があの馬だとわかるシーン…音楽、いりますかね?