砂手紙のなりゆきブログ

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マーティン・スコセッシのライバルは…

 現代もっとも人に見るべき価値がある、と公言して問題ない、というよりむしろ、見てないなんてもったいない監督としてはマーティン・スコセッシを筆頭にあげないといけないでしょうが(ウディ・アレンはそこまで行っていないと思う)、少年から学生時代に彼がもっともよく見た映画は、当時どん底だったハリウッド映画ではなく、イタリア映画でした。そしてハリウッドの映画業界に、彼の友人・知人や先輩・後輩はいますが、多分かなりライバル的に意識していた監督は…。
 ベルナルド・ベルトルッチ
 なにしろスコセッシは1942年11月生まれ、ベルトルッチは1941年3月生まれ。
 スコセッシが映画業界で半端な仕事をしていた時代に、ベルトルッチはすでに2作めの作品『革命前夜』(1964年)でカンヌ国際映画祭で批評家たちに絶賛され、それ以降寡作ではありますが『ドリーマーズ』(2003年)に至るまで延々と、非ハリウッド的な環境で名作を作り続けている天才です。
 だいたいベルトルッチが映画を作った年に、スコセッシがどんな映画を作っていたかというと、

1972年
ベルトルッチラストタンゴ・イン・パリ』 スコセッシ『明日に処刑を…』
1976年
ベルトルッチ『1900年』 スコセッシ『タクシードライバー』
1987年
ベルトルッチラストエンペラー』 スコセッシ『ハスラー2』(1986年)『最後の誘惑』(1988年)
1990年
ベルトルッチシェルタリング・スカイ』 スコセッシ『グッドフェローズ

 以下略。
 映画『1900年』は本当にすばらしい映画です。こんなの勝ち負け(どっちの作品がいいか)では語れない。
 20世紀末には、スコセッシはきっと、ロバート・デ・ニーロを一番うまく使えるのはぼくだし、ぼくはベルトルッチの3倍の早さで映画が作れる、とか思ってた気がする。