砂手紙のなりゆきブログ

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英米のSF作家と著作権(コードウェイナー・スミス)

 素人の翻訳者が適当にネットで翻訳を発表するためには、著作権関係であれこれ言われないテキストを見つけることが必要になります。
 日本の法律で著作権が保護されているのは、一応2018年2月の段階では「死後50年」、匿名の場合は「公表・公開後50年」ということになっています。要するに1967年以前に亡くなっている日本人の著作物に関しては、どのように扱っても問題はないはず。
 具体的には、江戸川乱歩(1965年没)とか。明智小五郎怪人二十面相のBLを書いても大丈夫(かもしれない。ただちょっと別の人がその名前の権利を持ってるかもしれないので本当はよくわからない。
 第二次世界大戦中、日本と戦争をしていた国は「戦時加算」というものがあるのですこし違います。
 前に書いたテキストをまるまるコピペすると、

sandletter.hatenablog.com『ちょっとややこしいのが「戦時加算」という、世界中で今は日本しか使っていないイレギュラーなものがあります。
 要するに、第二次大戦中の、具体的には1941年12月7日以前から1952年4月28日(サンフランシスコ講和条約)までに発表された著作物は、最大10年ちょっとだけ著作権が残ることになります(特定の国だけですが)。
 で、ダシール・ハメットは1961年に亡くなってるんですが、『マルタの鷹』(1930年)その他の代表作は戦前に書かれているので、2022年ぐらいまで著作権はあることになっています(多分)。
 レイモンド・チャンドラーは1959年に亡くなっていて、代表作『長いお別れ』(1953年)は著作権切れです。『大いなる眠り』(1939年)から『かわいい女』(1949年)までの長編5作は、2020年ぐらいまで著作権はあることになっています(多分)。
 イアン・フレミングは1964年に亡くなっていて、ジェームズ・ボンドのシリーズ第一作『カジノ・ロワイヤル』(1953年)から全部著作権切れです。』

 でもって、同じようにSF作家で探してみると、いないんだよなあこれが。
 たいていのSF作家は二十代でデビューして、21世紀まで普通に生きてる。アイザック・アシモフ(1992年没、72歳)なんてまだ早死にのほう。
 SF周辺作家ではいないことはないです。
 エドガー・ライス・バローズ(1950年没)とか、ロバート・E・ハワード(1936年没)、エイブラハム・メリット(1943年没)とかね。
 SF作家以外だと、ジェイムズ・ジョイス(1941年没)も版権フリーなんだけど、素人には手に負えない。
 クラーク・アシュトン・スミス(1961年没)は、まだだめ。1953年とかに出版した本はないですからね。
 ところが! E.E.スミス(1965年没)のほうは、『スカイラーク対デュケーヌ』(1965年)が版権フリー(のはず)! 他のレンズマンとかスカイラークのシリーズはだめなんですけどね。
 ということで、いろいろこつこつ、こいつもまだ長生きだよなー、なんでSF作家は早死しないのか。夜中に酒飲みながら書いている(と思われる)怪奇小説とかハードボイルド作家とは違うんだな、と思ってたところに、大物をひとり見つけました。
 その作家の名前は…。
 その作家とは…。
 と、もったいぶってても仕方ないですね。今日の日記の見出しにある通り、コードウェイナー・スミスです。
 コードウェイナー・スミスは1966年8月6日没。デビュー短編「スキャナーに生きがいはない」(1950年発表)その他はだめなんだけど、「鼠と竜のゲーム」(1955年発表)なんかは大丈夫なはず。
 ちょっと自信がないので、もうすこし版権に関して知識のありそうなかたに現在確認してもらっているところ。
 しかしねえ、伊藤典夫浅倉久志の名訳があるのに、なんでコードウェイナー・スミスを素人が翻訳し直さなければならないのか、という根本的な問題があるのよね。
 ということで、ヘンリー・カットナー(1958年2月4日没)なんかはどうかな、とか思う。『たそがれの地球の砦』(1943年発表)なんかは、まるまるほぼ10年の戦時加算じゃなくて、だいたい8年だから、2016年あたりに漠然と版権切れてる気がするんだよなー。