砂手紙のなりゆきブログ

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ウォルター・マーチがトーマス・エジソンの17秒の映画に音をつけるまでの職人芸

 トーマス・エジソンは自分の業績の筆頭として音を記録することができるもの(蓄音機)を作ったことを挙げています。
 まあ映画なんてただのパラパラ写真ですからね。
 エジソン(と、その弟子のウィリアム・ディクソン)が残した映画としては、1894年、ディクソンがバイオリンの音を録画している17秒の映画がありました。
 これは現代の映画の基本である1秒24コマではなく40コマとして撮影されていて、その音源も長い間不明でしたが、突然それが2分30秒の、半ば壊れかけたサウンドシリンダーとして発見されました。
 米国議会図書館の映画テレビ部門のヘッドだったパトリック・ラフネーは、オーソン・ウェルズ黒い罠』(1958年)の再編集をしていたプロデューサーのリック・シュミドリン経由で神職人映画編集者であるウォルター・マーチに依頼し、彼の手によって映像と音がマッチングされました(2003年)
 ウォルター・マーチはさらに、映像に出ているふたりのさりげない会話がノイズとして残っていることに注目し、さらに解析する技術が進めばそれは「世界最古のさりげない(演技していない)会話が出ている映画」ということになるかもしれない、と言っています。
(今日の記事は『『映画もまた編集である』(マイケル・オンダーチェみすず書房、2011年)に依拠しています)