砂手紙のなりゆきブログ

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タイムリープだけじゃなくてスペースリープもSFではJ.G.バラードが起源(ゼーガペイン)

 電車その他の乗り物でとなり町に行こうとすると、途中で霧が出て来て、最初に乗った駅に戻ってきてしまう、というのは、なんかホラーっぽい話の定番のネタっぽいんですが、どうもSFというジャンルの中では誰が最初に小説にしたのかさっぱりわからない。
 昔からのネタで、タヌキに化かされて同じところをぐるぐる、とか、孫悟空がお釈迦様の手のひらから出られなくて、みたいな話はあるんで、民話・神話の類を含むとかなり起源は古そう。あと不思議小説の元祖・カフカの「皇帝の使者」も、宮殿から出られない男の話ではありますが、どんどん行ったらもとのところに戻る話ではありません。
 記憶だけで書くと、J.G.バラードの初期短編「大建設」(Build-Up、ニュー・ワールズ1957年1月号)がそういう話でした。日本では短編集『時間都市』に掲載されてて、最初の邦訳がSFマガジン1967年4月号、「無限都市」という名前ですかね。これは無限に広い都市を電車で旅をしたら、いったいどこにたどり着けるんだろう、ということをやってみる人間の話で、カフカブッツァーティを足してSFにしたような、不思議なオチ小説でした。
 出られない町、というネタの話で手塚治虫が短編「人間牧場」を発表したのは1961年8月号の別冊少年サンデーですけど、これは何をヒントにして書いたんだろうな。
 なお、タイムリープをネタにした最初(最初期)のものもJ.G.バラード「逃がしどめ」(Escapement、ニュー・ワールズ1956年12月号)ということになっているみたいです。
 おそるべしJ.G.バラードフィリップ・K・ディックやリチャード・マシスンの短編が映画になっているんだったら、J.G.バラードだっていいんじゃないかと思う。
 アニメ『ゼーガペイン』は、閉鎖(循環)空間・閉鎖(循環)時間が重要な意味を持つアニメです。他にも映画だと『ダークシティ』なんかが有名ですかね。永遠にたどり着けないシェルビーチ、って本当にかっこいい名前だ。