砂手紙のなりゆきブログ

KindleDPで本を出しました。Kindleが読めるデバイスで「砂手紙」を検索してください。過去テキストの一覧はこちら→http://d.hatena.ne.jp/sandletter/20120201/p1

2013-01-01から1年間の記事一覧

きっとあなたが写ってる(陸軍)

木下惠介が戦時中に作った映画『陸軍』は、親子3代にわたって日本帝国陸軍に奉仕した一族に関する悲しい話ですが、一応戦意高揚映画にはなっている(少なくとも反戦映画ではない)はずです。木下惠介というのは本当に、モブ撮っても狭いところ撮っても、カ…

たぬきのうしろで大地震(山田五十鈴)

高井英幸『映画館へは、麻布十番から都電に乗って。』(角川文庫)という本を読みました。1960年代に東宝に入って、21世紀に東宝の社長をやった人の回顧録です。えらくなってからの話はあまり書いてないのが残念ですが、やはりいろいろ書けないこともありそ…

海外翻訳ミステリとかSFって、どうしてだんだん弱っていってるのか

弱ってる、というのは、話が面白くなくなってる、っていうんじゃなくて、どうもセールスとして目立ったところに来てないなぁ、という意味です。どちらも国内作家はそれなりに人気あると思うんですけどね。ミステリー>時代小説>SF>>>それ以外、みたい…

ファイルが飛んでしまったので1回休み

修復に時間がかかりすぎたのでもう寝ます。 何も書かないのはつらいので、フン族(のアッティラ)がどうして負けたのか、ちょっと考えたい。 アメリカ自然史博物館にそんなものがおいてある必要があるのか。

映画を見るために参考にしているリスト

とりあえずこんなものを参考にしています。 ネットにあっても著作権があるの多そうなので直接リンクしませんです。・破壊屋・ゼロ年代のベスト映画 これはネットでみんなで選んだ奴だったと思う。ベスト映画と言いながら791本あるのでたいがいのものは入って…

アメリカ映画ベスト100、1998年版と2007年版との相違

アメリカン・フィルム・インスティチュート(AFI)という組織がありまして、ここがアメリカ映画100年を記念して、毎年「○○な映画ベスト100」みたいなのを選んで発表しています。アメリカ人のすることなので、アメリカ映画しか扱っていませんが、まぁだいたい…

小林信彦では古すぎるし町山智浩では新しすぎる(映画の人)

というわけで、映画を見るための参考になる意見を言っている人を幅広く見てるんですが、一番古いのは今のところ双葉十三郎で、新しいのは長谷川町蔵かな。本当に、映画ってその人が若いときに見た映画が一番面白いと思ってるもんなんですね。小林信彦の場合…

ドストエフスキーの大ピンチ(賭博者)

1866年の秋、ロシアの文学者ドストエフスキーは44歳にして生涯最大のピンチに陥っていました。悪い人に金を借りて返せなくなって、その年の10月いっぱいまでに新作を1本仕上げないと、過去の著作に関する著作権が没収されるうえ、今後9年間はただ働きをさせ…

日本のSF業界は400冊の本と100人の人間の意見に支配されている(SFが読みたい!)

毎日コツコツと、早川書房が毎年出しているSFのベスト本、『SFが読みたい!』を入力して、読む資料にしています。 個人として利用するだけなんで、データをどこかにアップする予定はないんだけど、もう市販されていない本だったら、金取らないでやるんだった…

エロゲアニメ見るなら基準は『あかね色に染まる坂』なんじゃないかと思う

ネットの情報として、エロゲアニメ(エロゲ原作アニメ)ランク表というものがあります。ざっくり転載しておくと、S うたわれ ななついろ Air おとぼく ヤミ帽 恋姫 なのは1期 東鳩 ラムネ ef1期A スクイズ ダメポ ef2期 君望 下級生 こみパ 空鍋 Kanon京アニ…

生頼範義がイラストを描いたカート・ヴォネガットの小説カバーください(作家とイラストレイター)

そんなものはない。 でもちょっと見てみたいよね、『スローターハウス5』の生頼範義カバーイラスト。 主人公があの格好で、少年ウルフガイみたいな顔してて、背景でドレスデンが爆撃されてて炎があがってて、グラマーなねぇちゃんとトラルファマドール星人…

ヒューマン・インタレスト・ストーリーってキャラ萌えアニメ?(小説の分類と菊池寛)

丸谷才一『男ごころ』に「ヒューマン・インタレスト」って言葉があって、小林秀雄が引用した、菊池寛の語として語られてるんですが、丸谷才一はそれを「ゴシップ小説」なんじゃないか、って言ってます。でもまぁ、注釈的につけられてるドナルド・キーン氏の…

ラクガキをしながら本を読む(夏目漱石)

本の便利なところは、どこでも読めるところと、読みながらラクガキができるところです。どこでも読める、という便利さでは今はスマホを含む携帯読書機のほうが勝ってますが(暗いところでも大丈夫だし、文字の拡大もできます)、ちょっと落書きはしにくい。…

小物を出すときのカサコソという音(涼宮ハルヒの消失)

鶴岡陽太という音響監督がいます。 だいたいアニメのことあまり知らなくても、スタッフロールとかで何度も見たことがある人だと思います。 この人の仕事は、個人的な印象としては、小さな音をリアルっぽく作るのがうまい人だなぁ、という感じです。 アニメの…

犯人ネタバラ本(エジプト十字架の秘密)

エラリー・クイーンの角川文庫の新訳『エジプト十字架の秘密』、文字大きくなって読みやすくなった感じなんだけど、表紙の折り返し以外に本文にも登場人物紹介が入ってて、図書館の本だったらこれ、数年で誰かが「犯人→」とか「○」って登場人物の名前の上に…

筆記体(マリー・アントワネット)

大学に入って外人の先生の授業で驚いたのは、何言ってるのかさっぱりわからないことと、黒板に書く字が筆記体でないことでした。今はどうも英語の筆記体というのは教育として教わるものではなく、趣味として覚えるものにはなってる気がするんですが、授業の…

仲の悪い人(007 カジノロワイヤル)

人と人とは、すぐに仲が悪くなったり、また普通の仲になったりするんですが、迷惑なのはその周りの人間ですね。一応社会人としての自覚がある人間は、嫌いな人がいても露骨にそれについて語らない。語る必要がある人は、何かを作っている人なんですが、他人…

手塚治虫の描くピアニストの曲げた指

手塚治虫のピアニストが出てくる音楽漫画というと『ルードヴィッヒ・B』とか『虹のプレリュード』あたりが有名なんでしょうが、漫画の中のピアニストは作者と同じく「曲げた指」でピアノを弾いています。ところがどうも『ピアニストは指先で考える』(青柳…

独裁者は本が好き(スターリン)

ナポレオンとヒトラーとスターリンに共通するところは、3人とも本が好きだった、ということです。 ナポレオンはエジプトに学術者送って本を書かせたり、すごい量の手紙書いたりしてたし、ヒトラーは1万4千冊の蔵書の多くが軍事関係で、うるさいドイツ軍に対…

今まで見た映画の中に出てきた本で一番すごい奴(運命のボタン)

映画やアニメの中に出てくる「実在の本」に関してチェックをしています。架空の本じゃなくて実在の奴。 映画『あの頃ペニー・レインと』では、バスでツアーに行くバンドのメンバーがブラッドベリ『刺青の男』を読んでたり(1970年代前半の設定です)、『パラ…

どうもベストミステリーとか参考にしても面白い本に出会えないという人に

まぁ、古典に属する名作はともかく、SFとかミステリーの年間ベストというのはあまり商業誌に掲載されたものは参考にならないですな。というか、参考にするためには少し努力がいる。誰がどの作品を褒めてるか、選者とその作家・作品の傾向を理解して、読む…

笑いの本質は飛躍の距離にある(古今亭志ん生)

どうもうまく口に出来ないんだけど、表現の過剰、ってのは古今亭志ん生の落語の基本だよね。「強情灸」で、あちーっ、って言って飛び上がって飛び出して、そのままシベリアまで行っちゃった、とか。「火焔太鼓」で、ほこりだらけの太鼓を、ほこり払ったら太…

キャラ萌えイラスト小説の起源(シャーロック・ホームズ)

活版印刷というものは西洋ではグーテンベルクの時代からあったということになっていますが、活版というのは文字印刷の場合は基本的に「出っ張ったところにインクを乗せて刷る」という凸版印刷で、イラスト(挿絵)はその逆の凹版印刷でした。要するに、文字…

アメリカ映画って検索しながら見ないと楽しめない(ウソツキは結婚のはじまり)

最近アニメどうも見るものがなくて、アメリカのコメディ映画ばかり見ていまして、あのアダム・サンドラー出演映画でさえ劇場未公開だったりするのが謎だったんですが、やっぱこれ、劇場で見ていても笑えないから仕方ないよなー、って気になってきました。ア…

図書館のレファレンス・サービスサイト面白いです(マーク・トウェインのタイプライター)

ツイッター・アカウントとして「@crd_tweet」というのもあるんですが、これは面白いです。よくまぁこんなことを聞く人がいて、どうやって調べたか、ってのがわかります。調べがつかないものも当然あります。調べるレベルは当然「ウィキペディアに書いてあっ…

星雲賞の「コミック部門」なんているの?

日本のSF好きの人が集まる大会(コンベンション)に、「日本SF大会」というのがあります。 これはアメリカの「世界SF大会」を模してはじまったもので(アメリカ人にとってはアメリカ=世界だったようですが、一応アメリカ以外の世界各地でも開催されて…

世界は夢か舞台か

自分が知っている世界が、実はみんな舞台で、友人・知人や家族までも役者だ(自分が学校や職場に行ったりしている間は、母親あるいは妻は別のものになっている)というのは、割とよくあるSF短編のネタ妄想だけど、起源は何なのか今となってはさっぱりわか…

昔の橋を今渡る(氷菓)

アニメ『火垂るの墓』は、清太と節子が暮らした崖の穴のある池(ニテコ池)を見おろす邸宅から「埴生の宿(Home! Sweet Home!)」が流れて終わりますが、あの邸宅は旧・松下幸之助邸(名次庵)で、普通のアニメ好きには『涼宮ハルヒの憂鬱』の鶴屋さんの家と…

動物園の象は悲しい(恋とニュースのつくり方)

多分漫画『三丁目の夕日』だったと思うんだけれど、動物園で象を見る話がありましたが、これは思い出すだけで泣ける。『ごんぎつね』や『100万回生きたねこ』ぐらいの破壊力があります。 どういう話かというと、小学生の子供が象を見て、それから数十年後に…

定価と価格(ニュータイプ)

本とか雑誌・CDなどには「再販価格維持制度」というのがあります。 これは別に「古本屋に売ってはいけない」という意味じゃなくて、卸元(出版社とか)が小売(書店とか)に、「この値段で売ってください」という指定が出せる、ということです。 普通の商…